1.今はどのようなお仕事をしていますか
現在は日本政府が実施するODA(政府開発援助)などの国際協力事業において調達業務や管理業務を行うJICS(一般財団法人 日本国際協力システム)で国際協力案件を担当しています。例えば、ウクライナに地雷除去の機材を届けたり、途上国に医療や浄水器などを届けたりしています。また最近は国際機関が実施する事業の支援活動などをしています。
案件ごとに要請と予算があり、その内容に基づいて具体的にどんな機材が調達されれば真に役に立つか、相手国のニーズを聞いて、調達対象機材の条件を含めて選定します。入札を通じて機材などを調達し、稼働するところまでサポートします。アフリカもあれば中南米、アジアなど世界各国に相手先があります。最近はアジア方面に出向くこともあります。

2.どのような経歴で、どのような動機やきっかけで転職されましたか
IBMの営業・SEなどを34年間勤めたのですが、52歳のときに有給休職制度で3ヶ月間、JICAトルコ国の活動に参加する機会がありました。 IBMでは外資系成果主義の激務であり当時は再雇用制度も魅力的ではなかったため、人生後半の働き方を考えていた最中の機会でした。
在職中、社員を対象に退職者で頑張っている方を紹介する「元気がでるセミナー」という催しがあり参加しました。そこでリタイヤ後に国際協力で全世界を旅している人の話を聞くことができ、非常に興味が湧いたのを覚えています。その影響もあり、海外で働いてみたいと思い、52歳のときにJICAのトルコ国への短期シニア派遣の募集を受け合格し、なんとか職場の承諾を得て4ヶ月の休職を許してもらいました。
JICAでは、日本国を背負ってトルコ国のコンサルタント育成を強化する目的で支援要員として任務につき、地域毎に経営者セミナーを実施し、多くの現地企業をまわり業務改善のコンサルティングを行いました。IBM時代は2万人の社員の一歯車と感じたこともありましたが、トルコでは現地企業経営者の方々が心から歓迎してくださり、とてもやりがいを感じました。そこでは、アパレル製造業、自動車部品製造業、医療機器製造業、オリーブ農園経営、鉄鋼業など様々な会社の経営改善指導や、地域行政機関では産官学の連携の重要性や表彰制度の改善なども実施しました。
その後派遣を無事終え会社に復職しましたが、どうしても国際協力に携わりたい思いが膨らんでいきました。また会社には早期退職制度もあり、むしろセカンドキャリアの選定には寛容な状況もありました。その様な環境もあり、57歳のとにき真剣に転職を考え、国際協力コンサルタントをやりたいと目標を据え、JICAでアルゼンチンへの経営管理支援の2年の派遣要請に合格したこともあり、早期退職を決断しました。その意図は、国際協力の会社には少なくとも2年以上の海外勤務経験が必須であったため、その実績を作るためにも必要でした。
ただ思いもよらず、その2020年のアルゼンチン2年派遣の際、前代未聞のコロナ感染症の大流行によりJICAの海外派遣の全員が帰国を命じられ派遣中止という窮地に立たされました。
一挙に無職の状況になり、非常に焦りましたが、ゴルフ場のアルバイトなどもしながら、IT経験を活かし㈱SHIFTという急成長のIT会社に再就職できたこともあり、安堵しました。後から考えると、この時の状況は家族に非常に心配をかけていた様子で、いまだに「人生何があっても苦しいゴルフ場の肉体労働ができるのであれば、どんな事になっても大丈夫よね?」と笑い話にされる事が多いです。
その後も諦めずに申込みを続けていた在パナマ日本国大使館に合格。実はコロナの時にもめげずにスペイン語の学習を2年間続けていた事が功を奏したかもしれません。
そして2021年からやっと海外赴任することになり念願の2年間の海外勤務が実現しました。そのパナマでは色々な経験をさせていただきました。親日国であったこともあり日本人に対して友好的で過ごしやすい環境でした。
大使館の任務を終えて帰国しましたが、その経験も活きて、現在の日本国際協力システムとのご縁をいただき勤めることになりました。


3.退職や転職時に不安だったことや、苦労したことは
語学に苦労しました。外資系企業とはいえ海外経験も少なく英語コンプレックスがありました。それでは駄目だと思い、他国の言語を習うことも始めスペイン語を習得しました。
中南米では多少発音が違っていても寛容でコミュニケーションもとりやすかったです。
苦労といえば、やはりコロナで、海外渡航の機会を失い、ゴルフ場のアルバイトをしていた時です。精神的にも体力的にもきつかったですが希望だけは持ち続けました。
4.今仕事ができている成功要因は何だと思いますか(信条やコツ)
自身の理想のキャリアを積むために自分で色々な転職サイトで企業をたくさん探したことです。条件を読み込むと何が自分に不足しているかを認識でき、その必要キャリアを積みなおす機会ができました。
諦めずに理想の仕事に近づくために取り組むことができたことかと思います。
結果、ITの多数のプロジェクト実績と海外勤務2年間の2つの経験が武器となり、その肩書きは強いキャリアとして認められるようになりました。




5.これからどのようなライフスタイルを過ごしたいですか
いまの職場でやりがいも大きく充実しているので、健康が続くかぎり続けたいです。組織内では長く現役として働く人がいますので、私もそれを目指しながら健康に留意しながら働くことです。何歳になっても必要としてもらえることが大切だと考えています。
いま当たり前ではなくなってしまった世界の平和に少しでも貢献できる様に、次の子供たちの世代に平和を引き継いでいけるように今後も国際協力関係の拡大に努めてまいります。
今後も健康第一に、海外交流を深めながら、活動していきたいと思います。
垂井 秀憲さん 神奈川県在住 日本国際協力システム勤務