シニア起業がつまずく最初の壁が、スキルや資金よりも「姿勢・視線」にあるケースは少なくありません。
「なぜ謝れないのか」その原因と対策を、シニア起業の現場目線で5つ挙げます。
① 役職=自分の価値だと思い込んでいる
原因
長年「部長」「課長」と呼ばれ、
肩書きが自分そのものになってしまっている状態です。
謝る=価値が下がる、負けを認める、という誤解があります。
対策
「役職は会社の装備品、退職と同時に返却した」と言語化する
名刺から肩書きを意図的に外す(例:代表、フリーランス、屋号のみ)
自己紹介は「できること」より「今学んでいること」から話す
② 謝る=責任を取らされるという恐怖
原因
管理職時代は、謝ると
・責任問題
・評価低下
・部下や上司からの追及
につながる経験をしてきました。
そのため無意識に「謝らない防御反応」が染みついています。
対策
起業後は謝罪=信頼回復の最短ルートと再定義する
「ごめんなさい」ではなく
「こちらの配慮が足りませんでした」と行動にフォーカス
小さな場面で先に謝る練習をする(メール1通でもOK)
③ 教える側だった期間が長すぎる
原因
何十年も「指示する・判断する・評価する」立場だったため、
教わる姿勢が鈍っている状態です。
その結果、
相手の指摘を「否定」に感じる
自分のミスを認めづらい
という反応が起きます。
対策
「今日は1つ教わる日」とテーマを決めて人に会う
若い人・現場の人に
「それ、どうやるんですか?」と先に聞く
謝罪を「学びの入口」に変える
→「ありがとうございます。勉強になります」
④ プライドが“過去の成功”に結びついている
原因
「ここまでやってきた自分が、今さら…」という
過去実績への執着が謝罪を妨げます。
しかし起業の世界では
過去の成功は、現在の免罪符にはならない
という厳しい現実があります。
対策
過去の実績は武器ではなく材料と捉える
「昔はすごかった人」より
「今も素直な人」が選ばれると理解する
実績を語る回数を減らし、感謝と謝罪を増やす
⑤ 謝る文化がなかった組織に長くいた
原因
日本の大企業や行政では
「謝る=弱い」「説明で押し切る」が評価される文化もあります。
その環境に長くいると、
謝罪の筋肉が衰えるのは自然なことです。
対策
起業後は「顧客文化」に頭を切り替える
正解は社内論理ではなく、相手の感情
謝罪は敗北ではなく
「次の仕事をもらうための通貨」と考える
シニア起業の第一歩として一番大切な視点
「自分は社会に雇われる側に戻った」
この認識を持てた瞬間から、
謝れる
聞ける
学べる
という循環が回り始めます。
これは「卑屈になる」という話ではなく、
新入社員レベルまで視線を下げる勇気こそが、最大の経験値です。
では「シニア起業で嫌われる“無意識の言動”」とは何でしょうか。
シニア起業の場合、本人は善意・経験のつもりでも、相手には「一緒にやりたくない人」に映ることが多くあります。
特に厄介なのは、自覚がない言動です。
ここでは「能力以前に嫌われる」シニア起業での無意識の言動を、現場でよく起きる形で挙げます。
①「昔はこうだった」「前の会社では…」が口癖
なぜ嫌われるか
相手が聞いているのは過去の正解ではなく、
「今、何をしてくれる人か」です。
この一言で
マウント
時代遅れ
変わる気がない
と一瞬で判断されます。
無意識の修正
×「前の会社では〜」
○「今のやり方だと、どう感じますか?」
過去は質問の材料に使うと嫌われません。
② 相手の話を“結論まで聞かない”
なぜ嫌われるか
経験がある人ほど、
「言いたいことが分かる」
→ 途中で遮る癖があります。
相手は
「この人は聞く気がない」
と感じた瞬間に心を閉じます。
無意識の修正
最後まで聞いて5秒沈黙する
「つまり〜ですね?」と要約して返す
結論は相手に言わせる
③ 無料アドバイス・説教モードに入る
なぜ嫌われるか
シニア起業家の最大の地雷です。
相手は
相談したい
仕事を依頼したい
だけなのに、
「教えられる側」にされると一気に距離ができます。
無意識の修正
まず「それは困りますよね」と共感
アドバイスは
「必要ならお話ししますが」と許可を取る
7割は質問だけで終わる
④ 決断が遅いのに、口出しは多い
なぜ嫌われるか
リスクを避けたい
でも影響力は持ちたい
という態度は、現場では
一番扱いづらい人です。
「責任は取らないのに意見は言う人」
という評価になります。
無意識の修正
意見を言うなら
「最終判断はお任せします」と添える
決める場では即断するか黙る
迷うなら「今回は様子見します」と明言
⑤ 自分の“人脈”や“知り合い”を強調する
なぜ嫌われるか
本人は信頼アピールのつもりでも、
相手には
威圧
利用されそう
古い権威
と映ります。
特に若い世代ほど逆効果です。
無意識の修正
人脈は言わずに使う
名前を出す前に
「ご紹介した方がいいですか?」と確認
実績は相手の役に立つ形だけ話す
⑥「自分は悪くない」が態度に出る
なぜ嫌われるか
言葉にしなくても、
言い訳
正当化
表情
で必ず伝わります。
起業の現場では
正しい人より、信頼できる人が選ばれます。
無意識の修正
事実確認より先に
「ご不快にさせてすみません」
原因分析は後回し
謝罪は短く、改善は具体的に
⑦ 年齢や経験を“盾”にする
なぜ嫌われるか
「この歳だから」「経験上ね」という一言で、
対等な関係が崩れます。
相手は
「議論できない人」
と判断します。
無意識の修正
年齢は一切話題にしない
経験は
「一例ですが」と前置きする
常に「どう思います?」で締める
シニア起業で嫌われない人の共通点
話すより聞く
教えるより一緒に考える
正しさより誠実さ
過去より今の行動
これは、
新入社員の姿勢に最も近い人が、実は一番強い
という逆説でもあります。
起業のスタンスについて参考になればと思いまとめてみました。
